そのレンズは私たちの人生を変えることはない。SeanTucker(ショーン・タッカー)
2022年9月4日(日曜日)、イギリスのシェフィードで行われた写真家ショーン・タッカーによるトークショー、フォトウォークイベントに参加した。
ストリート写真をテーマにしたイベントで、市内のカメラ屋「ハリソンカメラ」の創立50周年を記念して行われた。
参加者はアマチュアからプロの写真家まで約25人ほど。年齢は50〜60代ぐらいの男性が多かった。
午前11時から1時間ほどトークショーが行われ、昼食後、午後2時から4時半ごろまでフォトウォーク。参加者たちと一緒にシェフィールドの市内を散策しながら写真を撮った。
以下、ショーンのトーク内容を日本語に翻訳して引用。
カメラで撮影することを楽しんでください。
でも、その旅路の途中で、なぜこんなことをしているのかと自問自答し、こんなことを言うでしょう。
「自分のしていることに何の意味も感じない」
「そうだ、ちょっとお金を貯めれば、あのレンズが手に入る」
「そのレンズは私の人生を変えるだろう」
しかし、そのレンズを手に入れても、そのレンズは私たちの人生を変えることはない。
例えば、被写界深度が浅くて超ワイドに写るレンズで撮った写真は、初心者はそのようなものが好きで、「ああ、あなたは素晴らしい」と言われる。そして、「私は素晴らしい」と思うだろう。
しかし、それは本当に安っぽいトリックで、画像は何も語らない。
何も言っていない。ツールを使いこなし、テクニックを身につけ、初心者を感心させる。
しかし、もっと方向性が必要で、もっと中身が必要なんだ。
最近の写真家は、人気のアルゴリズムをハックするために写真を撮っているのであって、必ずしも自分らしさが出ているわけではない。
「いいね!」をもらうことに夢中になっていたら、それは大きな間違いだ。
自分から発信するもので、自分しか作れないものを作る必要があるんだ。
長い目で見て何か意味のある作品を作りたいなら、そうする勇気が必要なんだ。だから、自分自身を知るために時間を使うべきだ。
多くの人にとって宗教は汚い言葉だと思いますが、良い宗教の仕事は、壊れたつながりを作り直すことです。
家族、友人、国家間の壊れたつながりを再構築することです。
私たちが住むこの惑星と再びつながり、この惑星を大切にする私たちの責任を思い起こさせることです。
今日の宗教の多くは、この点でうまく機能していません。
ビジネスに巻き込まれ、その大きな役割を忘れてしまっています。
今こそ、アーティストが立ち上がり、私たちのためにそのつながりを作り直し、私たち自身の人間性や自然とのつながりを取り戻す手助けをする時ではないでしょうか。
もしあなたが、写真を撮ることに対する深い喜びと、世界が望んでいる場所、壊れたものを修復する方法、それらの交差点を見つけることができれば、あなたは自分のしていることに意味を求めることはなくなるはずです。
以上。
もともと、ショーンの写真に興味を持ったのが始まりなのだが、今回のイベントに参加することで、彼のバックグラウンドや思想を知り、ショーン自身の人生観にも興味を持った。新興宗教に限らず宗教自体に対してネガティブなイメージを強く持っていたのだが、彼の写真撮影に関する宗教的なアプローチはとても心に響いた。
カメラやレンズの機材、写真の撮り方の話をしながらも、彼と世界との関わり方についてのとても深い話が聞けて良かった。
翻訳はあまり自信がないので、正確な内容が知りたい方は、Youtubeに公開されているトークショーの動画を見て欲しい。
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